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2016年10月25日

【コラム(のようなもの)】5回目の美術館公演を終えて(石黒秀和)










野外群読劇「蜘蛛の糸」youtube公開中 https://youtu.be/cduGWSQWVZI

去る10月23日(日)、豊田市美術館2階大池で、野外群読劇「蜘蛛の糸」を上演した。これは豊田市美術館主催のミュージアムフェスタの一企画として5年前より行っているもので、市民に気軽に演劇に触れてもらいたいと、出演者も公募、上演もホールではなく、美術館の公共空間、いわば普段劇場ではない空間に、その一瞬、突然劇場空間が生まれ、たまたま通りかかった人がしばし演劇鑑賞を体験する、という趣向で行っている。運営はTOC(Toyota Original Company)。ほぼこの企画のためだけに作った任意団体である。1回目となる2012年は、美術館の作品たちが、もしも一夜限り動き出したら? というコンセプトのもと、作品を模した衣装に身を包んだ役者達がスローモーションで美術館内を徘徊するというパフォーマンスを行った。その時期の美術館の企画展「カルペディエム」にちなみ、花の儚い命をテーマにしていた。翌年の2回目は、スローモーションパフォーマンスに加え、美術館玄関前で「銀河鉄道の夜」を野外群読劇として上演した。たまたま企画されていた現代芸術家・高橋匡太さんのライティングプロジェクションに照らし出された夜の美術館で、それは幻想的な作品となった。2014年の3回目は、野外群読劇のみでシェイクスピアの「ハムレット」をとりあげた。公募の出演者も70名近くに及んだが、この時は観客もとても多く、美術館2階のバルコニーからも見下ろすその様はまるで豊田市美術館がローマの野外円形劇場になったかのようであった。昨年の4回目は、豊田市美術館リニューアルオープン記念として「星の王子さま」をとりあげた。この年から、玄関前は石のタイルが割れると困るからという理由で使用NGとなり、美術館庭園を使った。特段石のタイルが割れるような激しい動きをしたわけじゃないし、そもそも玄関で歩いたり走ったりして割れるタイルというのも如何なものか? と未だ釈然としない思いもあるのだが、建物そのものが作品でもある豊田市美術館。そんな要求にいちいち反論しててもしょうがないと、そこはアートの力、ピンチをチャンスに変える気持ちで文句は言わずやってきたつもりである。だが、15:00過ぎの庭園は日陰となり、この年の印象は、とにかく寒かった。そして今年、「蜘蛛の糸」。言わずと知れた芥川龍之介の名作である。会場を大池の中にしたいと言うのは昨年から決めていた。玄関前のように色々理由を付けられて結局NGになるのかな? という心配もあったのだが、過去にダンスで使ったこともあるらしく、案外すんなりOKが出た。とりあげる作品はこれまで必ず美術館の企画展に ちなんでいたのだが、今回は好きなことをやってみたいと実は谷川俊太郎の「20億光年の孤独」をモチーフにしたほぼオリジナル作品にするつもりだった。ところが、そんな時に限って美術館側から企画展にちなみ「蜘蛛の糸」をやって欲しいというオファーがあった。正直、芥川の「蜘蛛の糸」にあまり魅力は感じなかったのだが、作品の舞台がお釈迦様の蓮池であることから、これは、池の中で演じるのはむしろこちらの方がいいのかも、とやはりチャンスと思い原作そのままに上演する事にした。ただ、10月末の池の中に、足首程度とはいえ30分近くも浸かっているのだから、役者の公募に際してはそのことを注意事項とした。それでも20名を超す市民が集まってくれた。稽古は9月から日曜夜に2時間程度、全6回で仕上げた。今回は事前に演出プランを考えず、稽古場でいわば即興的に作っていったのだが、結果、池の中に咲く蓮の花とも蜘蛛の巣ともとらえることができる面白い演出とすることができた。衣装も当初のプランではなかった白く長いベールをつけることで、1列に歩いた時には一本の蜘蛛の糸のようになり、楽屋とした七州城から大池までの道中もスローモーションパフォーマンスとして見応えあるものにすることができた。当日は天気にも恵まれ(考えてみれば過去5回、野外公演でありながら一回も雨に降られていない)、多くのお客様に観ていただけた。
…と、豊田市美術館で試みた5年間の演劇プロジェクトをざっと振返ってみた。実は2年目から、これに加え小さな演劇プロジェクトという出演者2~3名の短編劇も上演しているのだが、いずれにせよ、前述した通り、劇場でもなんでもない公共空間が、その一瞬だけ劇場空間になる面白さを、細々ではあるが実践出来てきたのではないかと思っている。実はこの発想、すでに豊田市も「あそべるとよたプロジェクト」で実践し、今や世界からも注目されている「橋の下世界音楽祭」などもその中にあると思っているのだが、考えてみれば祭りとはまさにそのようなものなのだろう。そんな祭りが町のあちこちで実践され、結果それがこの町の魅力を高め、そこに生きる人の結びつきを強くする。それこそがアートの力であり意義だと僕は頑なに信じているわけだが…。
豊田市美術館での演劇プロジェクト。5回目を終え、来年…については現在まったくの白紙である。そもそもこの企画はあくまで自主企画であり、豊田市や美術館側から予算や入場料収入があるものではないので、全ては自己資金。と言っても、衣装をはじめ裏方は知恵を絞って少ない予算で対応してくれているわけだが、それでも幾らかはかかるもので、昨年からは数百円の出演料をとっているのだが5年の間にそれなりの出費にはなっている。やりたいならやってもいいよ、という、いわば美術館側からの好意でやらせてもらっているので、こちらの気持ちだけで決められるものでもないのだが、庭園もマルシェで使われるようになった今、正直、そろそろお金も上演場所もないなぁというのが本音。それでも10年は続けなくちゃいけないという気がしなくもないのですが…。
一方、今年は新たな展開の予感も。12月20日に「蜘蛛の糸」を寺部の守綱寺で再演します。と言っても平日の小さな読み聞かせ会での上演なので、出演者も10名程度、基本親子向けの池にも入らない別バージョンになる予定ですが、それでも「蜘蛛の糸」のお寺での上演なんて、なんとも雰囲気ありそうではないですか。一期一会、予測不能な野外劇はぶっつけ本番の1回きりが全てと、今まで再演などはしてこなかったのですが、正直、本番終えてみてはじめて気づく点も多々あるわけで、そこらへん再度創り直してみるのも悪くないなと、今年はじめて思ったりしています。ついでに、本格的な野外劇の上演も、再び出来ないかと、2回目のとよた市民野外劇から10年目の今、ふつふつ思い始めたりしていて…。
夢だけは膨らむ。
さて、どうしたものか。

石黒秀和  

Posted by <TAG>事務局 at 22:58Comments(0)コラム

2016年10月25日

【お知らせ】11月〈TAG〉映像版公開収録(11/7)




11月の〈TAG〉映像版のゲストは、フリーペーパー・耕ライフでお馴染み豊田市のデザイン事務所・こいけやクリエイト代表であそべるとよたプロジェクトやまちさとミライ塾も手がけるデザイナー・西村新さん。今注目の若手デザイナーが語るまちづくり、アートとは? ぜひ、生で聞きにきませんか?

公開収録

とき:11月7日(月)19:00〜(1時間30分程度)
場所:とよた市民活動センター

どなたでも気軽にお越し下さい。

  

Posted by <TAG>事務局 at 21:29Comments(0)<TAG>通信映像版

2016年10月25日

【映画】小坂本町一丁目映画祭Vol.14開催決定!上映作品募集(10/31まで)


豊田市にて2002年よりこれまで13回開催してきた自主映画の祭典「小坂本町一丁目映画祭Vol.14」の上映作品を募集中です。
10月31日(月)締切となっていますので、どうぞお急ぎください!

小坂本町一丁目映画祭Vol.14上映作品募集
【募集期間】2016年8月8日(月)~2016年10月31日(月) ※当日消印有効(作品郵送又はアップロード日)
【開催日・開催場所】2017年2月26日(日) 豊田市福祉センターホール(愛知県豊田市錦町1-1-1)
【本映画祭の目的】
本映画祭は、映画上映/鑑賞を通しての交流を目的にしています。そのため、グランプリや賞、賞金等はありません。一般観客の前で上映する機会や、他の映画製作者・出演者・映画祭スタッフ・観客等との交流の場を得たいと思われる方の応募をお待ちしています。
※後日、観客の鑑賞アンケートを送付させて頂きます。
【上映に関して】
応募作品が多数の場合、誠に失礼ながら、上映作品を選考させていただきます。上映時間・他作品とのバランス等を考慮して、事務局にて選考いたしますので、あらかじめご了承ください。
【作品テーマ/題材】
● 作品テーマ/題材は自由です。
● ドラマ・アニメーション・ドキュメンタリーなどジャンルも自由です。
● 通常の募集と合わせて「地元作品」(愛知や豊田に縁のある作品・監督)を大歓迎しております。
● 多くの作品を上映したいため、概ね30分以内の作品を歓迎します(※30分を超えても受付いたしますが、上映の基準が厳しくなることをあらかじめご了承ください)。
【応募資格】
● プロ・アマ、個人・グループ、国籍、年齢、性別、職業等は問いません。
● 映画祭当日の上映、交流企画、交流会への参加ができる方
※ 本映画祭は交流を目的としていますので、出品者の方には、交流企画、交流会への参加をお願いしています。よって、映画祭当日に愛知県豊田市まで来ていただけることが応募条件となります。
【ごあいさつ】
本映画祭は、愛知県豊田市を中心に西三河地域で映画作りや上映活動を行っている者が集まり、自主映画を観たことがない人たちに広く見てもらいたい、映画クリエーターと交流したいというコンセプトのもと、2002年から年1回のペースで、今までに13回開催してきた映画祭です。
おかげさまで、小さなお子さんから年配の方々まで、一般のお客さんがホールいっぱいに来場してくださる映画祭となりました。また、全国のたくさんの映画クリエーターの方々と交流でき、全国から駆け付けてくれた多くの映画クリエーターから「手作りな、あったかい映画祭ですね」と言ってもらえるようになりました。
そこで、より盛大に、より活気に満ちた映画祭にすべく、たくさんの素晴らしい作品を上映したいと思い、2017年2月開催予定の「小坂本町一丁目映画祭Vol.14」の上映作品を募集します。
今回も「交流」をテーマの中心に据え、映画クリエーター同士が、一般観客とも交流ができる企画を開催していく予定です。私たちは、豊田・西三河を「全国の映画クリエーターが集う街」にしたいと思っています(私たちがいろんな人たちと出会ってお話ししたいというのがまずもっての気持ちです!)。
この映画祭には権威もネームバリューもありません。しかし、長年この映画祭を見守ってきてくれた多くのお客さんがいます。「たくさんの人に面白い自主映画を観て欲しい」「スタッフ・キャストのみなさんと会って交流したい」という気持ちはどの映画祭にも負けません。我々の思いに賛同頂ける方、どうぞ作品を送ってください!ご応募心よりお待ちしています。
【小坂本町一丁目映画祭とは】
愛知県豊田市(クルマのTOYOTAの街)で毎年開催している自主製作映画の映画祭です。毎回、300~500人の観客に来場していただいてます。
映画上映だけでなく、交流を深める様々なコーナーも併設し、製作活動が広がる場を提供しています。
これらを行なう運営費等は、入場料・DVD等販売売上げと合わせて、地元企業・店舗の協賛等で賄われている、地域密着型の映画祭です。

募集要項の詳細・応募は小坂本町一丁目映画祭サイトにて → http://kozahon1.jp/index.html  

Posted by <TAG>事務局 at 10:15Comments(0)映像2月10月募集

2016年10月25日

【演劇】とよたこども創造劇場修了公演「未・来・裁・判」(11/6)



名古屋地域でもトップランナー劇団「あおきりみかん」の鹿目由紀氏作演出演劇を豊田で見られるチャンスです。

とよたこども創造劇場修了公演「未・来・裁・判」
【日時】11月6日(日)開演13:30(13:00開場) 開演17:30(17:00開場)
【会場】豊田市民文化会館 小ホール(豊田市小坂町12-100)
【内容】公募により集まった市内在学在住の小学4年生から中学3年生までの児童・生徒47名が、名古屋を拠点に活躍する劇団あおきりみかん主宰の鹿目(かのめ)由紀氏が作・演出を手掛け、稽古の中で読み取ったこどもたちの個性や表現力を引き出したオリジナル劇を披露します。
【入場料】1,000円 取扱窓口 豊田市民文化会館 1F
【問い合わせ】文化部 文化事業課 0565-31-8804
【主催】公益財団法人豊田市文化振興財団・豊田市・豊田市教育委員会・文化庁・愛知県・第31回国民文化祭愛知県実行委員会
【協力】とよた演劇アカデミー修了生、文化ボランティア
詳しくは豊田市文化振興財団サイトをご覧ください → http://www.cul-toyota.com/  

Posted by <TAG>事務局 at 09:59Comments(0)演劇11月